文献詳細
原著
舌小唾液腺悪性腫瘍の2症例
著者: 長谷川誠1 茅野照雄2 北川昌伸3 海老原秀和1 中村弦1 石川紀彦1 堤内邦彦4 宮沢正純5 岡安勲6
所属機関: 1東京医科歯科大学耳鼻咽喉科 2東京医科歯科大学口腔病理 3東京医科歯科大学第2病理 4都立豊島病院耳鼻咽喉科 5自衛隊横須賀病院口腔外科 6医学部附属病院病理部
ページ範囲:P.819 - P.823
文献概要
舌の悪性腫瘍としては,扁平上皮癌が圧倒的に多く,その他の悪性腫瘍の発生は極めて少ない。発生部位の多くは舌側縁であり,舌の上縁や舌根部に発生することもあるが,その頻度は舌側縁に比べると少ない。初期より舌の疼痛が著しく,患者は比較的早期にそれを自覚することが多い。
一方,舌に小唾液腺悪性腫瘍のできる頻度は非常に低く,その報告例もわずかである。そして,腫瘍による症状の発現が遅く,かなり大きくなってから初めて気づかれることが少なくない。1978年より1992年までの15年間に東京医科歯科大学耳鼻咽喉科において治療した舌の小唾液腺悪性腫瘍の症例は2例である。本論文においては,これらの症例について,その病理組織,治療,臨床経過について述べてみたい。
掲載誌情報