文献詳細
特集 耳鼻咽喉科の機能検査マニュアル
6.嗅覚検査
文献概要
はじめに
耳鼻咽喉科医は聴覚,平衡覚,嗅覚,味覚などの感覚器官を取り扱っている。そして,それらの機能検査の判定に携わっている。嗅覚・味覚は化学受容器を介する感覚であるため,聴覚のように物理的受容器を介した電気生理学的検索が困難である。したがって,聴覚や平衡覚に比べて,嗅覚や味覚の機能検査の発達は乏しいと言わざるを得ない。臨床的には,嗅覚障害者は聴覚障害者に比べて,その障害の認識が低いと考えられる。また,嗅覚障害に付随する副鼻腔炎などの疾患への関心のほうが高く,嗅覚障害の治療は顧みられないという現実がある。
しかし,炎症性疾患の軽症化により,残存する障害に対する関心の高まりや,生活の質の向上に伴って嗅覚の必要性が見直されていることなどにより,最近では,嗅覚障害を主訴として耳鼻咽喉科を受診する患者の増加が認められている。さらに,若年者では,交通事故など頭部外傷の機会が増え,それに伴う嗅覚障害も増加している。したがって,これらの患者に対して,嗅覚機能を的確に把握することで耳鼻咽喉科医のinformed con—sentを果たすことができることは言うまでもない。
現在,耳鼻咽喉科外来では嗅覚検査として基準臭嗅覚検査や静脈性嗅覚検査が行われている。しかし,検査に伴う異臭や検査の煩雑さなどの理由で,すべての施設で行われていないようである。本項では,嗅覚検査の概要とその問題点について,従来われわれが用いてきた方法および最近欧米で行われている方法についても述べる。
耳鼻咽喉科医は聴覚,平衡覚,嗅覚,味覚などの感覚器官を取り扱っている。そして,それらの機能検査の判定に携わっている。嗅覚・味覚は化学受容器を介する感覚であるため,聴覚のように物理的受容器を介した電気生理学的検索が困難である。したがって,聴覚や平衡覚に比べて,嗅覚や味覚の機能検査の発達は乏しいと言わざるを得ない。臨床的には,嗅覚障害者は聴覚障害者に比べて,その障害の認識が低いと考えられる。また,嗅覚障害に付随する副鼻腔炎などの疾患への関心のほうが高く,嗅覚障害の治療は顧みられないという現実がある。
しかし,炎症性疾患の軽症化により,残存する障害に対する関心の高まりや,生活の質の向上に伴って嗅覚の必要性が見直されていることなどにより,最近では,嗅覚障害を主訴として耳鼻咽喉科を受診する患者の増加が認められている。さらに,若年者では,交通事故など頭部外傷の機会が増え,それに伴う嗅覚障害も増加している。したがって,これらの患者に対して,嗅覚機能を的確に把握することで耳鼻咽喉科医のinformed con—sentを果たすことができることは言うまでもない。
現在,耳鼻咽喉科外来では嗅覚検査として基準臭嗅覚検査や静脈性嗅覚検査が行われている。しかし,検査に伴う異臭や検査の煩雑さなどの理由で,すべての施設で行われていないようである。本項では,嗅覚検査の概要とその問題点について,従来われわれが用いてきた方法および最近欧米で行われている方法についても述べる。
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