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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科65巻4号

1993年04月発行

文献概要

総説

アレノレギーの発症機序

著者: 奥平博一1 森晶夫1

所属機関: 1東京大学医学部物療内科

ページ範囲:P.259 - P.265

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 はじめに
 抗原刺激により抗体産生が起こり,この抗体の作用により過敏症が起きることがあるということは,20世紀初頭には免疫学者達の常識になってきた。ところが,1923年CocaとCookeは“生まれつき”の過敏症があるのだという主張をした。このような素因を持った患者の家族や親類には,“生まれつき”の過敏症を持った人が多いが,過敏症の表れ方は,気管支喘息やアレルギー性鼻炎,アトピー性皮膚炎,食物アレルギー等々,多様である。このような過敏症は,抗原の注射等という意図的な抗原刺激なしに表れるにもかかわらず,特定のアレルゲン(アレルギー反応を起こす抗原:室内塵:ダニ,スギ花粉,タマゴ,イヌゲ,ネコゲ等)に対し,特異的に誘発される。この過敏症は,血清により正常人に移すことが出来るが,アレルゲンと患者血清を反応させても沈降反応を生じない等々,当時の常識からすると奇妙な性質を持っていた。このような過敏症に対して,Cocaはアトピー(atopy)という名称を与えたのである。周知のごとくisotope(同位元素)という言葉は,isoは同じ,topoは場所・位置という意味を組み合わせて作られているが,a-topyとは,あるべき場所からはずれている,変わりその,という意味なのである。アレルゲンと反応する“抗体”は,アトピック・レアギン(atopic reagin)または単にレアギン(reagin)と呼ばれた。その後,レアギンが“IgE”という独特の性質を持った免疫グロブリンであることが石坂らにより確認された1)(図1)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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