文献詳細
原著
1聴神経腫瘍例手術後のABR回復過程
著者: 小林謙1 相原康孝1 神尾友和1 中村雅子2 加我君孝2
所属機関: 1神尾記念病院 2東京大学耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.325 - P.330
文献概要
聴性脳幹反応(ABR)は聴神経腫瘍の診断にCTやMRIと同様に重要な検査法である。これらの検査技術の進歩により聴神経腫瘍の早期発見が可能となり,手術により聴力保存が達成できる場合もまれではなくなった1)。手術による聴力の保存をより確実に達成するため,ABRを術中にモニターすることがしばしば行われるが2〜4),術中に,それまで反応の得られていたABRが消失することがある。その場合,聴神経の障害や内耳動脈の血行障害などが生じたものと推定され,恒久的な聴力障害の合併が疑われる。
われわれは,術後ABRが一度消失し,その後再びABRが出現,最終的には術前とほぼ同様の反応を得た聴神経腫瘍症例を経験したので若干の考察を加えて報告する。
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