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原著
ロック難聴と急性音響外傷の臨床的検討
著者: 山村幸江1 高山幹子1 石井哲夫1
所属機関: 1東京女子医科大学耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.437 - P.442
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1950年代後半に出現したロックンロール(ロック)は,電子楽器を用い,強いアフタービート,社会性のある歌詞,そして強大な音を特徴とする1)。1962年のビートルズの登場とともに世界中に飛躍的に広がるが,時を同じくするように,諸外国では1960年代後半より,強大な音響による急性難聴(ロック難聴)の発症が認められるようになった2,3)。わが国では1970年代後半より報告がみられ4〜9),1986年には全国的なアンケート調在をもとに120症例が報告されている10)。これらの音楽聴取による難聴は,立木の分類11)における,予期している強大音の短時間負荷による難聴に相当すると考えられ,爆発音などの予期しない突発的強大音による急性音響外傷とは臨床像や機序に異なる点があるとされる。今回,あるロックコンサートを聴取した後に発症した,ロック難聴の3症例を経験したので,その臨床経過を提示した。また,過去に当科を受診した他のロック難聴症例および急性音響外傷症例とをあわせて,臨床像を検討したので報告する。
1950年代後半に出現したロックンロール(ロック)は,電子楽器を用い,強いアフタービート,社会性のある歌詞,そして強大な音を特徴とする1)。1962年のビートルズの登場とともに世界中に飛躍的に広がるが,時を同じくするように,諸外国では1960年代後半より,強大な音響による急性難聴(ロック難聴)の発症が認められるようになった2,3)。わが国では1970年代後半より報告がみられ4〜9),1986年には全国的なアンケート調在をもとに120症例が報告されている10)。これらの音楽聴取による難聴は,立木の分類11)における,予期している強大音の短時間負荷による難聴に相当すると考えられ,爆発音などの予期しない突発的強大音による急性音響外傷とは臨床像や機序に異なる点があるとされる。今回,あるロックコンサートを聴取した後に発症した,ロック難聴の3症例を経験したので,その臨床経過を提示した。また,過去に当科を受診した他のロック難聴症例および急性音響外傷症例とをあわせて,臨床像を検討したので報告する。
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