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原著
MRIによる副鼻腔炎保存療法の客観的評価—塩化リゾチームカプセルの効果
著者: 橋本省12 高坂知節12
所属機関: 1東北大学医学部耳鼻咽喉科 2現:国立仙台病院耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.591 - P.596
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いうまでもなく副鼻腔炎は耳鼻咽喉科領域における主要疾患のひとつであり,これまで種々の治療法が考案され,試みられてきた。保存治療としては抗生物質,抗炎症剤,消炎酵素剤,抗アレルギー剤などが用いられるが,中でも最も頻用されるのは消炎酵素剤であろう。ところが,その効果に関しては数多くの報告があるもののほとんどが自覚症状,鼻内所見および単純X線写真所見の変化によって判定を行っており,厳密な意味での客観的評価を試みた報告は極めて少ない。
筆者らは1984年に本邦で初めて耳鼻咽喉科領域のMRI所見を報告1)して以来,鼻副鼻腔病変の診断につきたびたび報告してきた2〜4)が,副鼻腔炎においては粘膜肥厚程度の軽度病変でもこれを把握できることがわかっている。したがって,副鼻腔炎の治療効果の客観的判定法としては,MRIは極めて正確で信頼性があることは明らかであるが,同時に,評価される側にとっては厳しい判定法であるといえる。すなわち,X線写真やCTなど従来の方法では病変の完全消失と判定されるような例でも,MRIにおいては炎症の残存が確認される可能性がある。
いうまでもなく副鼻腔炎は耳鼻咽喉科領域における主要疾患のひとつであり,これまで種々の治療法が考案され,試みられてきた。保存治療としては抗生物質,抗炎症剤,消炎酵素剤,抗アレルギー剤などが用いられるが,中でも最も頻用されるのは消炎酵素剤であろう。ところが,その効果に関しては数多くの報告があるもののほとんどが自覚症状,鼻内所見および単純X線写真所見の変化によって判定を行っており,厳密な意味での客観的評価を試みた報告は極めて少ない。
筆者らは1984年に本邦で初めて耳鼻咽喉科領域のMRI所見を報告1)して以来,鼻副鼻腔病変の診断につきたびたび報告してきた2〜4)が,副鼻腔炎においては粘膜肥厚程度の軽度病変でもこれを把握できることがわかっている。したがって,副鼻腔炎の治療効果の客観的判定法としては,MRIは極めて正確で信頼性があることは明らかであるが,同時に,評価される側にとっては厳しい判定法であるといえる。すなわち,X線写真やCTなど従来の方法では病変の完全消失と判定されるような例でも,MRIにおいては炎症の残存が確認される可能性がある。
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