文献詳細
原著
上顎洞に原発した髄外性形質細胞腫の1症例
著者: 清水賢1 中村雅一2 菅澤正2
所属機関: 1公立昭和病院耳鼻咽喉科 2東京大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.41 - P.44
文献概要
上顎洞粘膜に原発した髄外性形質細胞腫(extramedullary plasmacytoma)の1例を経験したので報告する。副鼻腔原発の本疾患についての報告は少ない。一般に,髄外性形質細胞腫の治療は放射線と手術の併用療法が主流で1),局所の腫瘍が制御できれば,その予後は比較的良好といわれている。しかし,形質細胞腫は血液疾患の1つで,細胞レベルでは比較的初期より全身にびまん性に存在している可能性がある。全身に転移を起こし,いわゆる多発性骨髄腫に移行すると予後は約2年と極めて悪くなり,治療としては化学療法が必要となってくる。本例に対して,形質細胞腫の局所の制御とともに,全身化を予防するために放射線療法・手術療法に化学療法を組み合わせた治療を行い,良好な結果が得られたので,現在までの約2年にわたる治療経過を報告する。
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