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トピックス メディカルフォトテクニック
1.鼓膜写真の撮り方
著者: 高山幹子1
所属機関: 1東京女子医科大学耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.935 - P.940
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狭い外耳道の最も深い場所に位置する鼓膜は,肉眼的観察もさることながら,写真に撮ることも困難であった。その特徴は外耳道が狭いこと,直線的でないこと,光が鼓膜に当たらないことである。これらの問題点はあったが1960年に河田ら1)はヒトの鼓膜撮影装置を製作し研究用に使用したが,これは実用化はされなかった。1982年にはHawke2)が鼓膜撮影装置を開発し,ヒトの正常から病的鼓膜までの写真を報告している。
近年グラスファイバーの開発により,コンパクトではあるが十分な光量を得ることが可能となった。鼓膜の場合にも,外耳道に挿入できるに十分な細さの硬性管から光を当てることにより鼓膜の写真を撮ることができるようになった。写真を撮る以前に,カメラのレンズを通して見る鼓膜は視野角が比較的広く,拡大した像がみられ,視野も明るく顕微鏡より以上の所見が得られることも多い。さらに写真にして保存しておくことにより所見の見直し,経過の観察ができる。
以上の利点より,鼓膜の写真を撮るということを日常診療の中で習慣づけられれば有意義なことであろう。そこで繁雑な診療中にいかにして写真を撮るか,またその技術的な面についても述べてみたい。
狭い外耳道の最も深い場所に位置する鼓膜は,肉眼的観察もさることながら,写真に撮ることも困難であった。その特徴は外耳道が狭いこと,直線的でないこと,光が鼓膜に当たらないことである。これらの問題点はあったが1960年に河田ら1)はヒトの鼓膜撮影装置を製作し研究用に使用したが,これは実用化はされなかった。1982年にはHawke2)が鼓膜撮影装置を開発し,ヒトの正常から病的鼓膜までの写真を報告している。
近年グラスファイバーの開発により,コンパクトではあるが十分な光量を得ることが可能となった。鼓膜の場合にも,外耳道に挿入できるに十分な細さの硬性管から光を当てることにより鼓膜の写真を撮ることができるようになった。写真を撮る以前に,カメラのレンズを通して見る鼓膜は視野角が比較的広く,拡大した像がみられ,視野も明るく顕微鏡より以上の所見が得られることも多い。さらに写真にして保存しておくことにより所見の見直し,経過の観察ができる。
以上の利点より,鼓膜の写真を撮るということを日常診療の中で習慣づけられれば有意義なことであろう。そこで繁雑な診療中にいかにして写真を撮るか,またその技術的な面についても述べてみたい。
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