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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科66巻13号

1994年12月発行

文献概要

Current Article

微小血管吻合による遊離組織移植の臨床

著者: 田原真也1 高木正1 木西實1 牧野邦彦1 天津睦郎1

所属機関: 1神戸大学医学部耳鼻咽喉科学教室

ページ範囲:P.1027 - P.1034

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 はじめに
 微小血管吻合とは手術用の顕微鏡下に内径0.5〜2.0mmの血管を吻合して血流を再開させる技術である。歴史的には1959年Seidenbergの遊離空腸移植1)をはじめとして,遊離腸管移植が1960年代に散見される。しかし当時は自動吻合器を用いたものが主で,内径2mm以下の血管吻合はかなり困難であったと推測される。1960年代後半から切断肢指再接着2),1970年代に入って遊離組織移植3)の2つの分野で微小血管吻合の技術が目覚ましく発達した。さらに1980年代後半には,頭頸部癌摘出後の再建にも微小血管吻合を利用した組織移植が盛んに行われるようになり,現在では頭頸部外科の標準術式にもなろうとしている。われわれも1987年から遊離組織移植による頭頸部再建を本格的に開始し,現在までに400余例を経験した。本術式の有利な点は,癌摘出で生じた組織欠損に対して,必要とする組織を自由に移植できることである4)。しかもその移植組織自体が豊富な血行を有していることは創傷治癒の面からも有利である。現在われわれが行っている遊離組織移植による頭頸部再建についてその概要を紹介する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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