文献詳細
原著
高浸透圧性非ケトン性糖尿病昏睡をきたした喉摘症例—本邦報告169例の検討も含めて
著者: 小川佳伸1 松永喬1 宮原裕1 山中泰輝2 岡亮2
所属機関: 1奈良県立医科大学耳鼻咽喉科学教室 2日生病院耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.95 - P.99
文献概要
高浸透圧性非ケトン性糖尿病昏睡(以下HNCと略す)は,高齢者に好発し致命率の高い糖尿病の合併症として知られている。本邦では1965年橘ら1)が報告して以来,多くの報告があるが耳鼻咽喉科領域の報告は少ない。最近では脳神経外科領域2〜5)や心臓外科領域6)での報告が多い。
本症の特徴は,1)著しい高血糖(600 mg/dl以上),2)血漿浸透圧の上昇(350 mOsm/kg以上),3)ケトアシドーシスを欠くか軽度,4)著明な脱水と多彩な神経症状を呈することとされている2)。
われわれは,58歳男性の喉頭全摘出術後に脱水を誘因として生じたHNC症例を経験したので報告するとともに,最近本邦で報告された転帰の明らかなHNC症例について統計的検討を加えた。
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