文献詳細
原著
原発性胆汁性肝硬変の合併をみたシェーグレン症候群の2症例
著者: 前田学1 斉藤龍介1 宇野芳史1 金谷眞1 三崎敬三2 大内伸介3 渡辺周一4
所属機関: 1岡山済生会総合病院耳鼻咽喉科 2三崎耳鼻科クリニック 3香川労災病院耳鼻咽喉科 4岡山大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.106 - P.109
文献概要
シェーグレン症候群は涙腺,唾液腺などの外分泌腺を中心に発症する原因不明の疾患であるが,各種の自己免疫現象を示すことから自己免疫性疾患の1つと考えられるようになり,現在では全身性疾患として把握されている。耳鼻咽喉科領域では口渇などの乾燥症状を主訴にして訪れることが多い。近年,患者数増加の傾向にあるが,根本的治療は確立されておらず直接生命に関わる症状ではないため,これらの乾燥症状に対して大半は人工唾液のような対症療法で経過観察がなされていることが多い。
一方,原発性胆汁性肝硬変(primary biliarycirrhosis:PBC)はルポイド肝炎とともに代表的な自己免疫性肝疾患と考えられており,中年以後の女性に好発し,無症候のまま長期間経過する例があるものの,黄疸発現後は数年で死亡するといわれる1,2)。この両者はしばしば合併することが知られており,その合併の実態を知ることはわれわれ耳鼻咽喉科医にとっても臨床上有意義なことと思われる。今回,われわれはシェーグレン症候群経過中にPBCを合併した症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。
掲載誌情報