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原著
顎関節に発生した色素性絨毛結節性滑膜炎の1例
著者: 大平泰行12 山根仁1 中本吉紀1 千葉恭久1 指田純3
所属機関: 1帝京大学医学部附属市原病院耳鼻咽喉科 2現:埼玉県立小児医療センター耳鼻咽喉科 3帝京大学医学部附属市原病院脳神経外科
ページ範囲:P.348 - P.352
文献購入ページに移動1941年,Jaffe1)らは,それまでfibrous xantho-maなどの名称が用いられていた滑液嚢などに生じる腫瘍性病変の詳細な組織学的検討を行った。その結果,原因は不明だが炎症性の疾患であるとして,肉眼的にヘモジデリンによる色素沈着や,絨毛結節状の所見が認められることから,絨毛結節性滑膜炎Pigmented villonodular synovitis (以下PVSと略す)として報告した。それ以来この疾患名が広く用いられ,腫瘍類似性疾患の範疇に含まれている。症状は関節の疼痛や腫脹などである。治療は外科的摘出術が原則であり,組織が残存すれば再発をきたす疾患である。
多くは膝関節,股関節などの大関節に好発し,整形外科領域で取り扱われる。顎関節に発症することはきわめて稀で,世界で12例の報告を見るにすぎない。日本では口腔外科領域で1例の報告があるのみで,耳鼻咽喉科領域での報告はまだない。
今回われわれは,顎関節に発生したPVS症例を経験したので報告する。
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