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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科66巻6号

1994年06月発行

文献概要

トピックス 耳管機能とその評価

3.耳管鼓室気流動態法

著者: 岩野正1

所属機関: 1関西医科大学耳鼻咽喉科学教室

ページ範囲:P.520 - P.525

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 はじめに
 耳管は中耳の換気,排泄,上気道からの中耳の防御という機能をもち,中耳腔の恒常性の維持に関与している。耳管障害により各種の臨床症状や中耳疾患が生じることは以前からよく知られており,耳管機能の評価を目的として数々の検査法が考案され,臨床応用されてきた。耳管鼓室気流動態法(Tubotympanoaerodynamic Graphy,以下,TTAGと略)は1974年に熊澤により報告1)された方法であり,古くから行われてきた耳管通気であるバルサルバ法を基本とした耳管機能検査法である。
 耳管機能を評価するパラメーターとして,鼻咽腔や外耳道などからの外部からの圧によりどの程度耳管開大するかを示す受動的開大能と,嚥下という能動的な動きによる耳管の開大を示す能動的開大能とがある。現在臨床応用されている検査法は多く存在するが,1つの検査法で何の制限もなく受動的,能動的開大能という2つのパラメーターを検出しうる方法はなく,各種検査法を被験者の状態に合わせて組み合わせることにより、耳管機能が正確に評価される。前者の受動的開大能を検出する方法として耳管カテーテル通気検査,バルサルバ法による検査,さらに鼓膜穿孔がある場合外耳道側から圧をかける逆通気圧法があり,後者の能動的開大能を検出するものとして音響耳管機能検査や加圧・減圧法などがある。TTAGはバルサルバ法を基準とした検査であり,したがって鼻咽腔圧の上昇によりどのように耳管が開大するかを示す受動的開大能を主に検出する検査である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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