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雑誌目次

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科66巻7号

1994年07月発行

雑誌目次

目でみる耳鼻咽喉科

最近経験した巨大な良性頸部腫瘤

著者: 苦瓜知彦 ,   鎌田信悦

ページ範囲:P.598 - P.599

 耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域において,頸部腫瘤の鑑別直診断はしばしば問題になる。最大の問題点は,“悪性か否か”であるが,時として巨大な良性腫瘍に遭遇して驚かされることもある。最近われわれの施設で経験した3症例を供覧する。

原著

歯科治療後,広範に生じた顔面・頸部皮下気腫の1症例

著者: 小田明子 ,   三田奈保子 ,   吉原俊雄 ,   下出啓子

ページ範囲:P.601 - P.604

 はじめに
 顔面や頸部の皮下気腫は,頭頸部手術後にしばしばみられるが,日常診察においては比較的稀である。それらは頸部の腫脹のため,原因の如何にかかわらず耳鼻科を受診することが多い。
 今回われわれは,歯科治療後,右の側頭部から両側鎖骨上部まで広範囲に広がった顔面・頸部皮下気腫の1症例を経験したので報告する。

過度の発声により生じたと考えられた頸部および縦隔気腫の1例

著者: 角田浩幸 ,   石田美智子 ,   武田永勇 ,   亀井尚 ,   佐野譲

ページ範囲:P.606 - P.609

 はじめに
 頸部皮下気腫は日常の診療においては,強い咳嗽発作や気管切開術直後に遭遇する以外に比較的遭遇する頻度の少ない病態である。
 今回,われわれは過度の発声により生じたと思われるまれな頸部皮下気腫の1例を経験したので報告する。

特発性縦隔気腫の4症例

著者: 山内博幸 ,   及川仁元 ,   西平茂樹

ページ範囲:P.610 - P.616

 はじめに
 われわれ耳鼻咽喉科医師が,外来診療の場で頸部や縦隔に気腫を認める症例を観察する機会は比較的少ない。基礎疾患をもった症例や,胸部症状を主訴にする場合は小児科や内科を受診することが多く,外傷が原因の場合は多くが外科や救急外来を受診することが多いことがその理由として考えられる。われわれは今回,基礎疾患のない健康人に生じた特発性縦隔気腫の4症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。

外耳道に寄生したフタトゲチマダニの2例

著者: 佐伯忠彦 ,   篠原孝之 ,   有友宏 ,   酒井雅博

ページ範囲:P.617 - P.620

 はじめに
 外耳道異物は日常外来診療においてしばしば遭遇する疾患の1つである。その種類は有生と無生に大別され,前者では一般に昆虫が多いとされているがダニ類の報告例は少ない回1〜4)
 今回,著者らは外耳道に寄生し吸血していたフタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)の2例を経験したので報告する。

鼻骨骨折の臨床的研究

著者: 善浪弘善 ,   吉岡克己 ,   広田佳治 ,   飯沼壽孝

ページ範囲:P.622 - P.625

 はじめに
 鼻骨骨折は顔面骨骨折のなかで最も頻度が高い。画像診断はその補助診断として効果的であるが,限界があるとされている1)。CT撮影法は単純鼻骨撮影に比し,骨折の状態を明らかにするのに優れているが,単純な鼻骨骨折の日常的な診断方法とは言えない。今回,単純側方向撮影と高分解能CTの所見を比較し,鼻骨骨折の診断における側方向撮影法の有用性について若干の知見を得たので報告する。

Rotary Door Flap法による喉頭気管溝の閉鎖

著者: 石川雅洋 ,   田辺正博

ページ範囲:P.626 - P.629

 はじめに
 声門下狭窄の治療法は多種多様であるが,狭窄が高度の場合,外科的治療を要する。われわれは,高度の声門下狭窄に対し,喉頭気管溝として一定期間,頸部に開放し,拡大固定後に2期的に閉鎖する段階的手術法を用いている1)。今回,Eliacherらが提唱したrotary door flap法2〜5)を用いて喉頭気管溝の閉鎖を行い良好な結果を得たので手術法を中心に報告する。

上顎癌の頭蓋底顔面切除後の合併症の治療経験—皮弁の血行不全から始まった術後合併症を中心に

著者: 菅家稔 ,   井上貴博 ,   原田竜彦 ,   大平達郎 ,   川崎篤 ,   加納滋 ,   行木英生

ページ範囲:P.631 - P.636

 はじめに
 頭蓋底外科は,最近の切除手技の進歩と形成外科的再建手術手技の向上などにより急速に進歩し,その適応は広がってきている。合併症対策も,症例の集積により進歩してきているが,ときに術後の感染,皮弁の血行不全および髄液漏などが重驚な術後合併症となり,生命的予後を大きく左右することがある。今回,前・中頭蓋底および顔面頭蓋の合併切除を行った上顎癌頭蓋底浸潤例が,術後,皮弁の血行不全により創部感染をはじめ,次々と重症合併症を併発し,不幸な転帰をとった1例を経験した。皮弁の管理の重要性と術後合併症,およびその対策を中心に報告する。

内耳道から中頭蓋窩に進展した顔面神経鞘腫の1例

著者: 結縁晃治 ,   波多野篤 ,   増田游 ,   中嶋裕之 ,   衣笠和孜 ,   大本尭史

ページ範囲:P.638 - P.642

 はじめに
 顔面神経鞘腫は垂直部から鼓室部・膝部にかけて発生することが多く,内耳道内に発生する頻度は多くはない1〜3,5)とされている。また顔面神経鞘腫は発生した部位により多彩な症状を示すといわれており,内耳道内に発生した場合,臨床症状は内耳道内腫瘍の大半を占める聴神経腫瘍と酷似しており画像的にもその鑑別は困難なことが多い。しかしながら詳細に検討してみると,画像上あるいは神経耳科学的にいくつかの相違点がみられる6,7)
 今回われわれは耳鳴・難聴で発症し内耳道内から小脳橋角部・中頭蓋窩に進展した顔面神経鞘腫例を経験したので,その発生部位と症状の関連を中心に文献的考察を加えて報告する。

当教室における二重癌についての検討

著者: 糸数哲郎 ,   古謝静男 ,   真栄城徳秀 ,   江州浩明 ,   松村純 ,   幸地綾子 ,   野田寛

ページ範囲:P.643 - P.646

 はじめに
 近年の悪性腫瘍の診断技術の進歩,治療成績の向上ならびに平均寿命の延長に伴い,頭頸部領域の重複癌の報告が増加している。
 しかしながら重複癌の中でも,第一癌が他領域の癌ですでに根治的治療がなされている場合,臨床的にはあまり問題とはならないことが多い。
 今回われわれは,琉球大学耳鼻咽喉科学教室で経験した二重癌症例のうち,同時性に発症した症例ならびに,異時性二重癌のうち第一癌が頭頸部癌の症例について,その発生部位,治療,予後などについて検討したので報告する。

耳下腺神経線維腫を伴ったvon Recklinghausen病の1症例

著者: 小坂道也 ,   延藤洋子 ,   川上登史

ページ範囲:P.653 - P.656

 はじめに
 耳下腺に生じる腫瘍はその大部分が上皮性腫瘍であり,神経原性腫瘍は比較的まれである。
 今回われわれは,von Recklinghausen病の男児で,耳下腺に神経線維腫を伴った症例を経験したので報告する。

Chubby Puffer症候群の1例における術前と術後2週,9か月目の睡眠ポリグラフ—混合型,中枢型,閉塞型への変化

著者: 川村理恵 ,   石井甲介 ,   加我君孝 ,   本多裕 ,   高橋康郎

ページ範囲:P.658 - P.662

 はじめに
 Chubby Puffer症候群は,肥満に起因するPickwick症候群と,口蓋扁桃やアデノイドの肥大に起因するTonsiladenoid hypertrophy症候群の中間的存在として位置づけられている疾患で,1977年にStoolら1)によって報告された。本症は,肥満や心肺症状の程度が軽度で,肥満に先行して慢性の気道閉塞症状があるのが特徴で,睡眠障害を伴い,睡眠時無呼吸症候群の原因疾患の1つである。本症候群の術前術後の評価に睡眠ポリグラフを用いた報告があるが,術後継続的に調べた報告は極めて少ない。
 今回われわれは,口蓋扁桃肥大および肥満が原因で睡眠時無呼吸発作を認めたと思われるChubby Puffer症候群の1症例に対して,外科的治療前後に睡眠ポリグラフを施行し,術前が混合型,術後2週目に中枢型,術後9か月目に閉塞型へと変化したので,若干の考察を交えて報告する。

上咽頭嚢胞の1例—Tornwaldt病の診断に関する考察

著者: 大沢美智恵 ,   坂口正範 ,   田口喜一郎

ページ範囲:P.664 - P.667

 はじめに
 上咽頭には様々な種類の嚢胞が発生するが,それらはいずれも比較的稀なものである。新潟大学耳鼻咽喉科における10年間の統計1)では,上咽頭腫瘍を疑って生検を施行した症例中,良性疾患は53例であったが,そのなかで嚢胞はわずか1例のみである。今回われわれはTornwaldt病が疑われた上咽頭嚢胞の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する。

鏡下咡語

ロスケタンポポ

著者: 古澤慎

ページ範囲:P.650 - P.652

 私は,サハリン(樺太)のアニワ(留多加)で生まれ,コルサコフ(大泊)で育ちました。まだ乳児期のうちにコルサコフへ転居したため,アニワの記憶はありません。小学校高学年になって,度々アニワを訪れることがあり,その時の記憶に大変印象深いものがありますが,私にとって故郷としての想い出はコルサコフでのものであります。
 寒い北国でありましたが,田舎であったために,自然が身近かにありました。それは,本州のような実り豊かな自然ではなく,非常に過酷なものではありましたが,それなりに人の心を豊かにする何かを持っていました。

講座 頭頸部外科に必要な形成外科の基本手技・8(最終回)

神経縫合と移植

著者: 上石弘

ページ範囲:P.668 - P.676

 はじめに
 神経縫合も手術用顕微鏡下に微小外科の器械と手技を用いて行う点で,微小血管外科に共通した部分がある。しかし微小血管の縫合の場合,その是非が吻合直後から判明するのに対し,神経縫合では手術後一定期間待たないと結果が出ない。したがって,やり直しが利かずその分だけ術中における縫合の完璧さが要求されることになる。
 本編では,神経縫合と移植についての基本原則と手術手技について述べてみたい。

基本情報

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1316

印刷版ISSN 0914-3491

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