文献詳細
原著
単脚アブミ骨と線毛細胞分布異常を示した先天性アブミ骨固着症の1例
著者: 前田学1 斉藤龍介1 宇野芳史1 園部紀子1 林佐和子2 渡辺周一2
所属機関: 1岡山済生会総合病院耳鼻咽喉科 2岡山大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.712 - P.715
文献概要
ヒト中耳粘膜における線毛細胞の分布については,これまでにいくつかの報告があり,いずれも線毛細胞は耳管口および耳管口により近い部位に密に分布し,アブミ骨の周辺では線毛細胞の分布を認めないとする報告が大多数である1)。今回,われわれは両側伝音性難聴と耳鳴を主訴に来科した35歳の男性に試験的鼓室開放術を施行し,アブミ骨の固着を認めたためアブミ骨手術を行った症例を経験した。術後聴力改善と耳鳴の軽快をみたが,摘出されたアブミ骨は閉鎖孔のない単脚アブミ骨を呈し,走査型電子顕微鏡(SEM)による検索で脚表面粘膜に線毛細胞の分布を認めたので若干の文献的考察を加えて報告する。
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