文献詳細
文献概要
トピックス 耳鼻咽喉科領域の真菌症—診断と治療
1.真菌症の基礎的知識
著者: 発地雅夫1
所属機関: 1信州大学医学部第二病理学教室
ページ範囲:P.769 - P.780
文献購入ページに移動 はじめに
直菌症mycosis,fungal infectionは,真菌fungus (いわゆる“かび”)による感染症である。白癬などの皮膚真菌症が古くから知られているが,今日では,感染に対する抵抗力の減弱した患者compromised hostsを中心に,内臓の深在性真菌症が増加し,日和見感染opportunistic infec-tionsの一種として重視されるようになった。
真菌類は,自然界に広く分布する生物であり,約10万種といわれる莫大な数からなる。その中でヒトの病気に関係するものは,約50種である。かつて生物が動物と植物の2界に分けられていた頃は,真菌類は隠花植物の一種と考えられていた。しかし,最近普及しているWhittakerの生物5界説では,表1に示すごとく,独立した生物として扱われている1)。真菌類は,真核細胞eukaryocyte,eukaryotic cell (二重の膜に包まれた,DNAが二重らせんをなす染色体を内蔵する核を有する細胞)からなり,単細胞あるいは多細胞である。ヒストン蛋白,ミトコンドリアなどの細胞小器官,80sリボゾ-ムを有する。細胞壁は,chitin-chitosan,α-glucan,β-glucan,mannan,chitin-mannan,galactosaminogalactose polymersなどからなる。栄養の摂り方は吸収性栄養absorp-tive nutritionによっている。L-α-aminoadipicacid (AAA) lysine biosynthetic pathwayをとる。真菌類の中で医学の領域に関係するものは,表2の4門で,その中でもほとんどが,有性生殖の明らかでないか,あるいは無性生殖で増殖する不完全菌門に属する。
直菌症mycosis,fungal infectionは,真菌fungus (いわゆる“かび”)による感染症である。白癬などの皮膚真菌症が古くから知られているが,今日では,感染に対する抵抗力の減弱した患者compromised hostsを中心に,内臓の深在性真菌症が増加し,日和見感染opportunistic infec-tionsの一種として重視されるようになった。
真菌類は,自然界に広く分布する生物であり,約10万種といわれる莫大な数からなる。その中でヒトの病気に関係するものは,約50種である。かつて生物が動物と植物の2界に分けられていた頃は,真菌類は隠花植物の一種と考えられていた。しかし,最近普及しているWhittakerの生物5界説では,表1に示すごとく,独立した生物として扱われている1)。真菌類は,真核細胞eukaryocyte,eukaryotic cell (二重の膜に包まれた,DNAが二重らせんをなす染色体を内蔵する核を有する細胞)からなり,単細胞あるいは多細胞である。ヒストン蛋白,ミトコンドリアなどの細胞小器官,80sリボゾ-ムを有する。細胞壁は,chitin-chitosan,α-glucan,β-glucan,mannan,chitin-mannan,galactosaminogalactose polymersなどからなる。栄養の摂り方は吸収性栄養absorp-tive nutritionによっている。L-α-aminoadipicacid (AAA) lysine biosynthetic pathwayをとる。真菌類の中で医学の領域に関係するものは,表2の4門で,その中でもほとんどが,有性生殖の明らかでないか,あるいは無性生殖で増殖する不完全菌門に属する。
掲載誌情報