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トピックス 耳鼻咽喉科領域の真菌症—診断と治療
3.鼻・副鼻腔の真菌症
著者: 村井信之1 馬場廣太郎2 清水宏明2 深美悟2
所属機関: 1上都賀総合病院耳鼻咽喉科 2獨協医科大学耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.786 - P.791
文献購入ページに移動遠い昔,人類が発生する前より,真菌は存在した。動植物がその生を終わると,土に帰すために,細菌では分解できない植物の繊維質や,動物の毛などの角質層を真菌が分解してくれていたのをご存知でしょうか。まるで役に立ちそうもない真菌も自然界の中ではちゃんとした役割があるのである。
さて,近年抗生物質の進歩や,癌の治療法の発展など,医学の進歩とともに真菌症は医学の多くの分野でますます注目を浴びているが,耳鼻咽喉科における真菌症は,他の細菌感染症やウイルス感染症に比べ多いものではない。およそ感染症と名のつく耳鼻咽喉科疾患の3%以下である。また致死的転帰をたどる重篤な内臓真菌症のような症状もなく,伝染性も少ないために医学的関心の低い疾患である。
しかし耳鼻咽喉科領域でも真菌症は確実に増加している疾患である。耳鼻咽喉領域の真菌症は表在性,限局性真菌症が多く,そのため真菌症としての発症原因に最も関与していると思われるものは,広域抗生剤の頻用と,副腎皮質ホルモン剤である。さらに鼻・副鼻腔では鼻中隔彎曲などの形態的な問題が加味されるのであろう。
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