文献詳細
原著
軟口蓋・咽頭・喉頭ミオクローヌスの1症例に伴う聴覚障害について
著者: 藏内隆秀1 加我君孝1
所属機関: 1東京大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.803 - P.807
文献概要
ミオクローヌスとは,「急速に起こる瞬間的な不随意的筋収縮から成り,それが連続的にまたは間隔をおいて,多かれ少なかれ反復性に繰り返されるもの(平山)1)」を示す用語である。種々の身体領域においてミオクローヌスは起こり得るが,なかでも軟口蓋ミオクローヌス(Palatal Myo-clonus)は,他覚的耳鳴の1原因として耳鼻咽喉科領域では知られている。軟口蓋に限局したタイプのものが最も多いが,ときには軟口蓋に留まらず咽頭・喉頭,さらには眼球・横隔膜・顔面・四肢骨格筋にまでミオクローヌスが及ぶこともある。またABR波形の異常を伴う場合があることも知られている2〜4)。われわれは,頭部外傷後に聴覚障害を主訴として来院し,軟口蓋・咽頭・喉頭にミオクローヌスを認めた症例を経験した。特に聴覚機能とミオクローヌスとの関連につき考察を加え,報告する。
掲載誌情報