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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科67巻1号

1995年01月発行

トピックス 耳鼻咽喉・頭頸部領域のスポーツ外傷

2.鼻・副鼻腔

著者: 市村恵一1 善波弘善1

所属機関: 1東京大学医学部耳鼻咽喉科学教室

ページ範囲:P.29 - P.38

文献概要

 I.顔面外傷の原因としてのスポーツの位置
 顔面骨折の原因を調べると,交通事故,けんか,墜落と並んでスポーツによるものが多い。最近の主な報告からスポーツ外傷の割合を拾ってみよう。Toronto小児病院群の1986〜90年の統計では137名の小児顔面外傷のうち,15%がスポーツによるものであり1),これは交通外傷(50%)墜落(23%)に次いで多い。イタリアのペルガ大学耳鼻咽喉科では1980年から88年の間の1,952例の頭頸部外傷中の208例(22.7%)がスポーツによるものであった。多いのはサッカー時の衝突で鼻骨骨折が多かった2)。1978年からの10年8か月間に大阪市大耳鼻咽喉科では674例の顔面骨折を経験し,そのうち11%がスポーツによるものであった。骨折部位は鼻骨が最も多く50%を占めたが,そのうちスポーツに起因するものは30%であった3)。また東京医科歯科大学口腔外科の1977年からの15年間の顔面骨折患者847名中のスポーツ外傷によるものは89名(10.5%)であった。原因のスポーツはラグビー,スキーの両者で約半数を占め,最も多い部位は診療科を反映してか,下顎骨骨体が56.2%を占めた4)。これ以外のわが国での口腔外科領域からの報告によるスポーツ外傷の割合は6〜15.2%である。飯沼ら5)の過去5年間の統計によれば,221例の顔面外傷におけるスポーツ外傷症例は74例(34%)に及んでいる。そして耳鼻咽喉科領域からの発表を眺めるとその割合は20〜40%であるという。
 スポーツ外傷の原因を分類すると,①他のプレイヤーとの衝突,②地面に転倒,③運動用具との衝突に分類されるが,このうちでは①が最も多い。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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