文献詳細
トピックス ウェゲナー肉芽腫症の診断と治療
4.診断と治療—耳鼻咽喉科の立場から
著者: 間口四郎1 滝沢昌彦1 中丸裕爾1 犬山征夫1
所属機関: 1北海道大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.932 - P.940
文献概要
当科では1991年1月にはじめてcANCA (cyto-plasmic pattern,Anti-neutrophil cytoplasmicantibody;抗好中球細胞質抗体)陽性のWegener肉芽腫症(以下WGと略す)患者に遭遇した際,このANCAに関して強く興味をもった。当時ANCAの測定は保険適用になっておらず米国まで血清を送付する必要があったが,今後の患者の診断および治療経過中の定期的測定のためには自施設での測定がぜひとも必要であると考えた。そこで1991年2月より間接蛍光抗体法(IIF;In-direct immuno-fluorescence assay)によるANCAの測定を開始した。
1992年8月には白血球のバフィーコートからα顆粒を精製しELISAによる測定も開始した1)が,その後ニプロ社よりELISAキットのネフロスカラー・C-ANCが発売2)され,かつこれが保険適用になったことを受け,現在はIIFとネフロスカラー・C-ANCの2つの方法で患者血清中のANCAを測定している。
1995年7月現在,cANCA陽性のWG症例は22例に達している。今回これらの患者データを参考にしながら,現在までの他施設からの報告も含め耳鼻咽喉科の立場からWGの診断,治療に言及していきたいと考える。
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