文献詳細
原著
顔面神経麻痺と急性聾をきたした内耳道聴神経腫瘍の1例
著者: 山形和彦1 村上信五1 比野平恭之1 柳原尚明1
所属機関: 1愛媛大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.972 - P.975
文献概要
聴神経腫瘍の典型例では,耳鳴・難聴で緩徐に発症し,腫瘍が中等度以上に増大すると三叉神経麻痺や顔面神経麻痺をきたし,さらに下位脳神経麻痺,小脳症状や脳幹障害が発症する。しかし最近の画像診断法の進歩により,突発難聴で発症したり,また聴力が変動するような非典型例も多く報告され1〜6),非典型が典型とまでいわれるようになってきている。
最近,著者らは内耳道に主在する腫瘍であるにもかかわらず,急性の顔面神経完全麻痺と急性聾をきたした興味ある症例を経験した。経迷路法にて腫瘍を全摘し,顔面神経に対しては内耳道から茎乳突孔まで全減荷手術を行い,顔面神経麻痺の成因を推定することができた。さらに,診断,手術治療,特に顔面神経減荷術の有用性についても考察した。
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