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特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域の画像診断 1.側頭骨・頭蓋底
2.側頭骨・小脳橋角部のMRI 1)正常像(蝸牛,前庭部を含む,特に人工内耳の適応に関して)
著者: 伊藤壽一1
所属機関: 1大津赤十字病院耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.28 - P.32
文献購入ページに移動 ■はじめに
聴器は耳介,外耳道,中耳,内耳,内耳道と続き,中耳から内方は側頭骨内に位置するため外部からの観察が困難であり,画像診断が有力な手段となる。最近,鼓室形成術その他の中耳の手術の普及に伴い,中耳の解剖,病態の把握に対してCT(特に側頭骨高分解能CT),MRIの有用性が取り上げられるようになってきた。これに対し内耳の病態に対しては不明な点も多く,CTやMRIなどの画像診断をもってしても確実な診断は困難であった。さらに,内耳の疾患の中でも聾を含む高度難聴者に対してはこれまで特に有効な治療法もなかったため,内耳の画像診断もそれほど積極的に試みられなかつた傾向がある。ところが近年,聾者または補聴器が使用できないほどの高度難聴者に対し聴覚を回復せしめる人工内耳手術が普及するに至り,画像診断による内耳の病態,解剖の正確な把握が必要となり,CTやMRIなどの画像診断の内耳への応用が再度注目されるようになってきた。本稿ではまず簡単に人工内耳につき説明を加え,特に人工内耳への適応を念頭に置き,側頭骨特に内耳の画像診断につき述べる。
聴器は耳介,外耳道,中耳,内耳,内耳道と続き,中耳から内方は側頭骨内に位置するため外部からの観察が困難であり,画像診断が有力な手段となる。最近,鼓室形成術その他の中耳の手術の普及に伴い,中耳の解剖,病態の把握に対してCT(特に側頭骨高分解能CT),MRIの有用性が取り上げられるようになってきた。これに対し内耳の病態に対しては不明な点も多く,CTやMRIなどの画像診断をもってしても確実な診断は困難であった。さらに,内耳の疾患の中でも聾を含む高度難聴者に対してはこれまで特に有効な治療法もなかったため,内耳の画像診断もそれほど積極的に試みられなかつた傾向がある。ところが近年,聾者または補聴器が使用できないほどの高度難聴者に対し聴覚を回復せしめる人工内耳手術が普及するに至り,画像診断による内耳の病態,解剖の正確な把握が必要となり,CTやMRIなどの画像診断の内耳への応用が再度注目されるようになってきた。本稿ではまず簡単に人工内耳につき説明を加え,特に人工内耳への適応を念頭に置き,側頭骨特に内耳の画像診断につき述べる。
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