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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科67巻11号

1995年11月発行

特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域の画像診断

2.顎・顔面

3.鼻腔・副鼻腔のMRI

著者: 古田茂1 上野員義1 松根彰志1 宮之原利男1

所属機関: 1鹿児島大学医学部耳鼻咽喉科学教室

ページ範囲:P.72 - P.76

文献概要

 ■はじめに
 わが国の鼻副鼻腔へのMRIの応用は,1984年,橋本らによって初めて行われた1)。彼らは副鼻腔疾患のMRI所見を報告し,悪性腫瘍と炎症との鑑別が可能であることを示した。その後,MRIの機器の普及とともに,鼻副鼻腔病変の診断について多くの報告が行われている2〜6)。また,内科,脳神経外科などで脳疾患の精査のために頭部撮影をする機会が多く,その際に鼻副鼻腔も同時に描出され,偶然に副鼻腔病変を指摘され,耳鼻咽喉科に紹介される症例も見られている7)。本法では,X線CTと異なり放射線を全く使用しないので放射線障害の心配がなく安全である。傾斜磁場の選択により,被検者の体位変換なしで容易に任意方向の断層像が得られる。骨,非磁性金属,空気,ガスなどによるアーチファクトが少ないため,骨に囲まれた副鼻腔や頭蓋底,後頭蓋窩,側頭骨領域などの病変の診断に有利であるなどの特徴を有する。軟部組織間のコントラスト分解能が高く形態的に精確な情報が得られるうえに,質的診断が可能であり,病変の変化も的確に把握できる。したがって,粘膜肥厚,ポリープ,貯留液,腫瘍,真菌などの鑑別が非観血的に可能である8)。しかし,通常のスピンエコー(SE)法ではガドリニウム(Gd-DTPA)の増強によっても病変部と正常組織の組織分解能には限界があり,最近では,Gd増強効果の経時的変化を見るダイナミックMRIが行われるようになってきた9)。また,高磁場の下で,リン,ナトリウム,炭素などによる原子密度,緩和時間,化学シフトを測定し,エネルギー代謝の変化を知る方法も開発されている10)
 CTは骨情報中心,MRIは軟部組織情報中心であり,それぞれ得られる情報が異なっている。副鼻腔疾患の診断においては,MRIはCTの情報を補う検査として捉えるのが望ましい11)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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