耳鼻咽喉科・頭頸部外科67巻13号

1995年12月発行

原著

内耳道内脂肪腫の1例

著者： 小森正博¹ 村上信五¹ 柳原尚明¹ 善家喜一郎² 植田規史³ 辻田達朗⁴

所属機関： ¹愛媛大学医学部耳鼻咽喉科学教室 ²愛媛大学医学部脳神経外科 ³愛媛大学医学部第一病理学 ⁴愛媛労災病院耳鼻咽喉科

ページ範囲：P.1118 - P.1121

　はじめに
　内耳道に発生する腫瘍の大部分は聴神経腫瘍すなわち前庭神経鞘腫であるが，まれに脂肪腫も発生しうることが知られている。内耳道内脂肪腫は，難聴，耳鳴，めまいなど前庭神経鞘腫と同様の症状をきたすが，その発育・進展様式は異なり，また，MRI画像でも神経鞘腫とは異なった特徴的な所見を呈する。今回，極めてまれな内耳道内脂肪腫の1例を経験し経中頭蓋窩法を用いて摘出した。診断，治療方針などにつき文献的考察を加え報告する。