文献詳細
原著
埋没耳手術(いわゆる猫耳皮弁法)の検討—長期的経過を含めて
著者: 相原正記1 脇坂長興1 伊沢宏和1 石田寛友1 荻野洋一2 楠見彰3
所属機関: 1聖マリアンナ医科大学形成外科学教室 2横浜形成外科 3琉球大学耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.139 - P.142
文献概要
埋没耳は,耳介上半部が側頭部の皮下に埋没しており耳介を牽引すると耳介の全貌が現れるが,牽引をやめると再びもとの形にもどる先天異常である1)。欧米では稀であるといわれているが,本邦では比較的よく遭遇する耳介の変形の1つである。欧米では本症をCryptotiaまたはPocket earと呼んでいるが,わが国では久保により当初Tas-chen Ohr (袋耳)と命名された2)。しかし最近ではその形態から埋没耳と言われることが一般的である。
われわれは以前,荻野ら(1963)1),西村(1975)2)の方法で手術を行ってきた。しかし荻野らの方法では全例植皮術を要し,西村の方法でも植皮術を要する可能性があった。その後,植皮術が必要でない方法を求めて試行錯誤していたところ,横浜市立大学の吉田ら4),安瀬ら5)が植皮術の不要な埋没耳の手術法を報告した。それ以来,われわれも彼らの言う「いわゆる猫耳皮弁法」による埋没耳の手術を行うようになった。本法は比較的簡単で,術後の形態もよい手術法であるが,本法を施行している施設は少なく,また長期的な経過観察の報告も見当たらない。そこで今回,本法について術後10年を越える長期的な例を含め検討を加え,再評価を行った。
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