文献詳細
原著
血清コリンエステラーゼ欠損症例の全身麻酔下手術経験
著者: 大上研二1 野口高昭2 宮内善豊3
所属機関: 1山口大学医学部耳鼻咽喉科学講座 2徳山中央病院耳鼻咽喉科 3徳山中央病院麻酔科
ページ範囲:P.151 - P.153
文献概要
血清コリンエステラーゼ活性値の低下は肝機能障害,有機リン中毒などの全身疾患や消耗性疾患によるもののほかに,遺伝子異常によって起こるとされ,脱分極性筋弛緩薬の使用により遅延性の無呼吸をきたすことがある。遺伝性の血清コリンエステラーゼ欠損症は,1957年にKalowら1)の最初の報告以後数十例の家系が報告されている。本邦においては比較的まれな疾患とされており,1967年のShibataら2)の報告を初めとして現在までに20数家系の報告がある。
今回われわれは術前検査でコリンエステラーゼの異常低値を認めた副甲状腺嚢胞症例の全身麻酔手術を経験した。同胞に対し家系調査を行ったので,文献的考察を加え報告する。
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