文献詳細
原著
文献概要
はじめに
耳鳴は日常臨床で頻繁に遭遇する訴えであるが,それを随伴症状とする場合はともかくとして,主訴として受診する患者は極めて多彩な心的あるいは身体的症状を有している場合があり,多くの例で,心身両面からのアプローチが必要となる1〜4)。
阿部と筒井5)は,耳鳴を自律神経失調症状の1つとしてとらえ,コーネル・メディカル・インデックス(CMI)健康調査表6)のなかの自律神経失調症状を検出するための33問のなかに耳鳴に関する質問を含めている。
耳鳴を主訴とする患者は,確かに多彩な心身の自律神経失調症状を有している観はあるが,果たして随伴症状としてそれを有するような患者でも同様のことがいえるのか,つまり,一般的に耳鳴はその他のいわゆる自律神経失調症状と確かに関連するのかについては十分検討されていない。
そこで,今回われわれは,耳鳴の有無により,自覚的な自律神経失調症状数7)や副交感神経機能を他覚的に評価できるとされる心電図R-R間隔変動の解析による自律神経機能検査結果8)に有意な差が生じるか否かを検討し,興味深い成績を得たので,その概略を述べる。
耳鳴は日常臨床で頻繁に遭遇する訴えであるが,それを随伴症状とする場合はともかくとして,主訴として受診する患者は極めて多彩な心的あるいは身体的症状を有している場合があり,多くの例で,心身両面からのアプローチが必要となる1〜4)。
阿部と筒井5)は,耳鳴を自律神経失調症状の1つとしてとらえ,コーネル・メディカル・インデックス(CMI)健康調査表6)のなかの自律神経失調症状を検出するための33問のなかに耳鳴に関する質問を含めている。
耳鳴を主訴とする患者は,確かに多彩な心身の自律神経失調症状を有している観はあるが,果たして随伴症状としてそれを有するような患者でも同様のことがいえるのか,つまり,一般的に耳鳴はその他のいわゆる自律神経失調症状と確かに関連するのかについては十分検討されていない。
そこで,今回われわれは,耳鳴の有無により,自覚的な自律神経失調症状数7)や副交感神経機能を他覚的に評価できるとされる心電図R-R間隔変動の解析による自律神経機能検査結果8)に有意な差が生じるか否かを検討し,興味深い成績を得たので,その概略を述べる。
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