文献詳細
原著
HIV感染血友病患者に発生した顔面神経麻痺
著者: 村上信五1 比野平恭之1 柳原尚明1 羽藤高明2 藤田繁2
所属機関: 1愛媛大学医学部耳鼻咽喉科学教室 2愛媛大学第一内科学教室
ページ範囲:P.255 - P.258
文献概要
近年,わが国においてもヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者が急速に増加する傾向にある。HIV感染者,あるいはAIDS患者の耳鼻咽喉科領域の併発症状としては,口腔カンジダ,口腔粘膜・頭頸部皮膚のカポジ肉腫,咳,などが一般的に知られているが末梢性顔面神経麻痺も頻度は少ないものの注意すべき症状の1つである1〜7)。最近,血友病患者で血液製剤によりHIV感染をきたし,経過中に一側末梢性の顔面神経麻痺を発症した症例を経験した。われわれの渉猟した限りでは,本邦においてHIV感染者に顔面神経麻痺が発症したとの報告はない。HIV感染者に発症する顔面神経麻痺について文献的考察を加え報告するとともに,MRIおよびウイルス血清学的に顔面神経麻痺の病因を考察した。
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