文献詳細
原著
Pasteurella multocidaが検出された上顎洞真菌症の1例
著者: 金田裕治1 千葉隆史1 村井和夫1 草野英昭2
所属機関: 1岩手医科大学耳鼻咽喉科学教室 2八戸赤十字病院耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.314 - P.317
文献概要
Pasteurella multocida (以下P.multocidaと記す)はグラム陰性短桿菌で,ネコやイヌ,その他の動物の口腔内常在菌として存在し,獣医学領域では以前より出血性敗血症,家禽コレラなどの際に検出され,また人畜共通の起炎菌として知られてきた。ヒトでは,イヌやネコの咬掻傷による局所感染症が主であったが,最近P.multocidaによる敗血症による死亡例,あるいは髄膜炎,呼吸器感染症など重症感染症の報告がみられる。これらのなかで呼吸器の感染症はそのほとんどが下気道感染症の報告例であり,上気道感染症は稀であるとされている。今回,われわれはP.multocidaを検出した上顎洞真菌症の1例を経験したので報告する。
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