文献詳細
原著
唾液腺多形腺腫の10MHz超音波検査—病理所見との比較
著者: 加納有二1 角田浩幸1 平塚仁志1 橋本循一1
所属機関: 1帝京大学医学部耳鼻咽喉科学講座
ページ範囲:P.354 - P.358
文献概要
超音波検査は手軽で侵襲もなく検出能力に優れているので,日常診療における診断に頻繁に使用されている検査法である。現在,耳鼻咽喉科領域の診療においては,一般に5MHzや7.5MHzの探触子をもつ超音波断層法が用いられている。
近年,波長の極めて短い10MHzの探触子が開発され,表在性疾患を直接スキャンできるようになった1,2)。10MHz超音波断層装置では音波の到達深度は3.5〜4cmと制限されるものの,その理論解像力は5MHzや7.5MHz使用時にくらべて向上している2)。ところが,10MHzの高分解能超音波断層法の臨床応用の有効性は,まだ十分には報告されていない。
今回われわれは,唾液腺の多形腺腫症例にたいする10MHz探触子をもつ超音波断層検査の有用性を,10MHz探触子のダイレクト走査と7.5MHz探触子の水袋法のそれぞれの所見と,摘出標本の病理組織所見とを比較して検討した。
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