Wegener肉芽腫症診断におけるC-ANCA ELISAキットの有用性
著者:
滝沢昌彦
,
間口四郎
,
竹内ミルトン実
,
中丸裕爾
,
宮武由甲子
,
福田諭
,
犬山征夫
ページ範囲:P.439 - P.444
はじめに
Wegener肉芽腫症(以下WGと略す)の診断は従来,臨床症状および生検標本の病理組織診断でなされてきたが,確定診断を得ることは症状が進んだ典型例を除いては非常に困難であった。特に頭頸部領域に症状が限局した早期のWGは,鼻を中心とする壊疽性疾患として悪性リンパ腫,polymorphic reticulosisなどとの鑑別がしばしば問題となっていた1)。1985年Woude2)らは間接蛍光抗体法(indirect immunofluorescenceassay:IIF)でWGに特異的な抗ヒト好中球細胞質抗体(Anti-neutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)を報告した。ANCAはIIFの蛍光パターンでcytoplasmic ANCA(C-ANCA)とperinuclear ANCA(P-ANCA)に分けられるが,このうちC-ANCAがWGに特異的に検出される。当科でも平成2年以降IIFにてANCA測定を行い,早期診断における有用性を報告してきた3,4)。さらにRasmussemらの方法5)に改良を加え,ELISA(α-ELISA)によるANCAの測定も行ってきた6)。今回ニプロ社よりANCAの測定ELISAキット,ネフロスカラーC-ANC®(NephroScholar)が発売され保険適用となったこともあり,今後日常臨床で広く利用されるものと考える。われわれはニプロ社の好意によりこのキットを使用する機会を得たので,従来のIIF,α-ELISAとの有用性を比較検討してみた。