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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科67巻5号

1995年05月発行

Current Article

動揺病と空間識

著者: 高橋正紘1

所属機関: 1山口大学医学部耳鼻咽喉科学教室

ページ範囲:P.383 - P.395

文献概要

 I.動揺病をめぐる諸説
 動揺病は車酔い,船酔い,あるいは無重力環境で起こる宇宙酔いなどの総称である。顔面蒼白,冷汗,唾液分泌亢進,吐き気,嘔吐,頭痛などから成る。脊椎動物では魚類から高等哺乳類まで,症状の内容は異なるが動揺病の起こることが知られている。良く知られた現象であるが,いまだ発現メカニズムの定説はない1)
 動揺病をめぐる一番の謎は,生体にとって不快な現象(嘔吐)が何故人類にまで受け継がれてきたか,という問題である2)。この事実は,長い間研究者を悩ませてきた。Reasonらは感覚混乱説(Neural conflict theory)を発展させ,感覚配置変え説(Sensory rearrangement theory)を提唱した3)。この説によれば,矛盾する感覚情報は統合を妨げ,中枢の感覚配置変えが達成されるまで,自罰的な不快症状(self-inflicted symptom)が出現する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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