文献詳細
手術・手技
軟口蓋全層欠損に対する裏打ち大胸筋皮弁による再建術
著者: 高橋光明1 林達哉1 中島築1 安達俊秀1 横山貴泰1 斉藤泰一1 高橋竜二1
所属機関: 1旭川医科大学耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.499 - P.503
文献概要
軟口蓋は口腔にまたがる筋組織からなる運動器官である。その機能欠損は予想以上に大きく,嚥下機能,構音機能,呼吸機能,中耳機能の障害を引き起こす。成人では舌咽神経麻痺以外に,癌腫症例で口蓋切除後の機能損失,特に嚥下機能障害が問題となる。この場合,軟口蓋の再建後に適度の軟口蓋咽頭間隙(velopharyngeal space)の確保が困難であったり,誤嚥のために喉頭機能の保存が難しい症例があり,軟口蓋の欠損に対する再建術は頭頸部再建外科の未解決の領域の1つとされている1)。
今回,われわれは軟口蓋深く浸潤した中咽頭癌症例(T3N2bMO)の手術時の軟口蓋全層2/3と中咽頭側壁の欠損に対し,分層遊離皮弁で裏打ちした大胸筋皮弁で再建術を施行した。術後,嚥下,構音機能ともほぼ満足のいく結果を得たのでその手術法について紹介する。
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