文献詳細
トピックス 下咽頭・頸部食道癌の治療とその成績
3.下咽頭癌の治療とその成績—九州大学
著者: 倉富勇一郎1 冨田吉信2 益田明典3 山本智矢1 熊本芳彦1 井之口昭1 山下弘之1 藤賢史1 小宮山荘太郎1
所属機関: 1九州大学医学部耳鼻咽喉科 2国立病院九州がんセンター頭頸科 3国立九州医療センター耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.591 - P.596
文献概要
下咽頭癌は頭頸部癌のうちで最も予後不良の癌である。進行癌が多いこと,また原発巣,頸部の制御が困難であったり,制御できても遠隔転移をきたしやすいことがその原因とされている。当科では1976年に頭頸部癌の放射線治療としてFAR療法を導入し1),下咽頭癌にも応用して治療成績の向上がみられたが,必ずしも満足のいく結果は得られなかった。その後CDDPを中心とした化学療法を症例に応じて導入し,1988年からはFAR療法後にCDDP・Peplomycinによる化学療法を2クール行い,その後手術を施行する集学的治療を行うことを原則としてきた2)。本稿では,1976年から1992年の17年間に当科を初診し,入院治療を行った97例の下咽頭癌一次症例の治療とその成績について報告し,治療の進展に伴い成績が向上したかどうかにっいて検討を加え,われわれの下咽頭癌に対する治療についての考え方を述べる。
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