icon fsr

文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科67巻7号

1995年07月発行

手術・手技

耳科マイクロサージェリーにおける簡易なフィブリン糊の使用法

著者: 寺山吉彦1 目須田康1

所属機関: 1手稲渓仁会病院耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.690 - P.693

文献概要

 はじめに
 フィブリン糊(fibrin glue)は1972年Metrasらが神経縫合の実験に使用して以来,手術において生体組織と組織または人工材料との接着,固定,止血の目的に広く用いられている1)
 フィブリン糊は現在,市販品として3種類と患者自身の血液からの製剤とがある。いずれもA液として高濃度のフィブリノーゲンを,B液としてfactor) XIII,トロンビン,CaCl2の溶液を用意し,使用時にAB両液を混合して形成されたフィブリンを接着剤として利用している。
 フィブリン糊は実験的2,3)にも臨床的にも無害とされる。現在まで副作用としては1例のアナフィラシキー反応例が報告されているのみであるが,その原因は血清IgA欠損症という極めて稀な疾患によるという4,5)
 実際の使用法には6),1.重層法:AB両液の等量を2本の注射筒に別々に入れ,それぞれを接着部位に順に滴下する7),2.混合法:あらかじめAB両液を混合し,ただちに接着面にあてる,がある。
 メーカー提供の二連式の注射筒をY字形の結合管で合一し,1本の注射針より滴下する方法は後者に相当する。
 しかしこれらの方法は耳科手術のごとく手術顕微鏡下で深く,微細な部位に少量を適用するには困難である。これは液が粘性で細く長い針では詰まりやすく,太い針では余分なフィブリン糊を滴下しやすいためである。また術中何回も使いたいときにはAB両液を再作製しなければならない面倒もある。
 これらの難点を克服しようとする工夫はいくつか報告されているが,まだ適当なものはないようである。そこでわれわれは耳科マイクロサージェリーにおいてフィブリン糊をゲルフォーム®(Gelfoam,Upjohn,以下GFと略)とともに使用する簡易な方法を考案し,満足する結果が得られたので御参考に供したい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら