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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科67巻8号

1995年08月発行

Current Article

上顎洞癌T4症例の治療

著者: 宮田守1 森田守2

所属機関: 1自治医科大学耳鼻咽喉科学教室 2自治医科大学付属大宮医療センター耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.715 - P.730

文献概要

 はじめに
 本邦における上顎洞癌の発生率は1979年頃から減少してきている。図1は全国集計された頭頸部癌死亡者数の推移1)であるが,鼻・副鼻腔癌においては,1978年までは1,000人以上の死亡者が認められているが,1979年以降は徐々に減少し,1991年には766人となっている。われわれの施設においても1981年頃から上顎洞癌の患者は減少しているが,その後はやや増加し,ここ数年は年間10例前後の新患が当科を受診している(図2)。頭頸部癌死亡者数の全国統計から上顎洞癌の発生数を推定すると,現在年間の鼻・副鼻腔癌の死亡者数は700〜800人であり,治癒率を約50%とすると年間に約1,400〜1,600人の上顎洞癌の患者が治療を受けていることになる。このように上顎洞癌の発生率が減少してきたとはいえ,毎年1,400〜1,600人の症例が医療機関を受診しており,おそらくその多くはT3,T4の進行例であると思われる。最近上顎洞癌の治療成績に関しては良好な結果が報告されるようになってきているが,広汎に進展した症例,特に頭蓋底浸潤のあるものについてはいまだに十分な治療成績は得られていないのが現状である。今回,最近の本邦における上顎洞癌の治療の現況を紹介し,さらにわれわれの施設で行っている上顎洞癌の治療法,特にT4症例の治療法および治療成績について検討し報告する。われわれの施設では1974年から手術,放射線,局所化学療法を組み合わせた治療を行ってきているが,各々の治療配量に関して若干の変更を加え,1979年頃より現在当科で行っている治療法となってきている。この治療法の変遷については文献2〜4)に詳しく述べているので参照していただきたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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