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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科68巻11号

1996年10月発行

文献概要

特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科手術マニュアル—私の方法 頸部の手術

2.頸部嚢胞摘出術 1)正中頸嚢胞(甲状舌管嚢胞)摘出術

著者: 髙橋廣臣1

所属機関: 1北里大学医学部耳鼻咽喉科学教室

ページ範囲:P.139 - P.141

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 はじめに
 正中頸嚢胞は甲状舌管の遺残組織から発生するので甲状舌管嚢胞とも呼ばれている。発生部位は,多少左右に偏在する(左寄りがやや多い)ことがあるが,ほぼ正中頸部といってよい。高さでは舌盲孔から甲状腺に至る全ての部位に発生し得るが,舌骨と甲状軟骨の間が最も多い。大部分は膨大した嚢胞部分と柄の部位からなり,柄の部分はときに管腔を有し,舌骨の中央部であるいは舌骨を貫通し,あるいは舌骨の前または後ろに癒着し,さらに舌盲孔に向かう。舌骨より上部の柄の部分は索状になり管腔をもたないこともあるが,樹枝状に分岐した内腔をもつことがあり,この管は舌盲孔に開口していることがある。嚢胞部,管腔部の内腔を覆う上皮は,脱落していることもあるが,円柱または立方上皮(線毛を有することがある)か扁平上皮で,嚢胞内には黄色透明または半透明の比較的さらさらした液体または白濁した(沈渣を混ずる)液を入れる。黄白色ペースト状を呈することもある。ときには内腔壁にコレステリン肉芽腫の形成をみることがあり,内容液中にコレステリンの板状結晶が認められる。嚢胞壁またはその周辺にしばしば甲状腺組織を認める。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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