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文献概要
はじめに
耳疾患についての病理学的知識の大部分は,セロイジン連続切片の光学顕微鏡(光顕)検査から得られたものである。それを集大成したSchukne-chtの名著“Pathology of the Ear1)”はこれからも臨床家にとって良い道標であり続けるはずである。一方電子顕微鏡(電顕)が内耳へも応用されて,個々の細胞の超微の形態さらに分子生物学との連携で機能の解明にまで知識を深めてくれたが,その多くは材料として動物を使って得られたものである。臨床のためにはヒトでの状態を知りたいのであるが,死後変化の問題もあってヒト内耳への電顕の応用は,あまり活発にはおこなわれていない。
筆者は電顕の中でも走査型電顕(SEM)を使ってこれまで成人25例,胎児12例の内耳を観察してきた。以下にこれまで知り得たヒト内耳の所見を概括してみる。
耳疾患についての病理学的知識の大部分は,セロイジン連続切片の光学顕微鏡(光顕)検査から得られたものである。それを集大成したSchukne-chtの名著“Pathology of the Ear1)”はこれからも臨床家にとって良い道標であり続けるはずである。一方電子顕微鏡(電顕)が内耳へも応用されて,個々の細胞の超微の形態さらに分子生物学との連携で機能の解明にまで知識を深めてくれたが,その多くは材料として動物を使って得られたものである。臨床のためにはヒトでの状態を知りたいのであるが,死後変化の問題もあってヒト内耳への電顕の応用は,あまり活発にはおこなわれていない。
筆者は電顕の中でも走査型電顕(SEM)を使ってこれまで成人25例,胎児12例の内耳を観察してきた。以下にこれまで知り得たヒト内耳の所見を概括してみる。
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