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原著
唾液腺腫瘍に対する穿刺吸引細胞診の有用性
著者: 海沼和幸1 坂口正範1 横山晴樹1 勝野哲1 石山哲也1 田口喜一郎1
所属機関: 1信州大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.1035 - P.1039
文献購入ページに移動唾液腺腫瘍は,良性,悪性を問わず多彩な組織像を呈する。また腫瘍以外にも炎症性腫瘤や,腫瘍類似疾患などの病変も多い。
耳下腺に好発する腫瘍として,多形腺腫およびワルチン腫瘍があげられるが1),臨床的に良性腫瘍を疑って手術した後,摘出標本で組織学的に悪性と診断される症例も少なくない。したがって,これらの腫瘍の性質が術前に分かることは,術式の決定に際して非常に有用である。しかし,唾液腺腫瘍に対する切除生検および大口径針による針生検は,穿刺経路への腫瘍細胞の播種の危険を伴い一般に禁忌とされている2)。一方,穿刺吸引細胞診(fine needle aspiration biopsy:FNA)は,操作が簡単,安全であり,その結果が迅速に得られるため,近年,唾液腺腫瘍に対して施行される頻度が高まりつつある3)。
今回われわれは,唾液腺腫瘍の良性,悪性の鑑別ならびに組織型推定のおけるFNAの有用性について検討してみたので,若干の文献的考察を加えて報告する。
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