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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科68巻2号

1996年02月発行

文献概要

鏡下咡語

思考とコミュニケーション

著者: 荒木元秋1

所属機関: 1日本耳鼻咽喉科学会

ページ範囲:P.150 - P.151

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 ●はじめに
 私共の日常診療では,主として聴覚と言語に関係する器官の疾病異常を対象としている。
 然しコミュニケーションに関する様々な社会現象に関心が低いのではないかと考えてみる。
 ことば(言語)を話すことは人間固有の行動で,文書(字)を書くことと共に人間文化の根元を支えていると云っても過言ではない。
 自己のことばが他人に知覚され,コミュニケーションが成立し,相互の意志,親密度を認識し,子供のしつけや公共のマナーを修得する。辞書によるとcom-municationとは,伝達,通報,伝染(病気),手紙,伝言,交通,連絡,輸送と,人間が相互に意思を伝達しあうこととある。
 ことばは言語を音として表現したもので,これが文章,身振り,あるいは電波等で伝達され,最近は電子工学の発達と共に,そのメディアは益々複雑化している。旧世代の健常者は,パソコン等の新しい器械を駆使することを敬遠する傾向にあるが,言語あるいはその他の心身障害者にあっては,音や画像によるコミュニケーションが大きな福音となっている。広く地球上の出来事は,今や衛星通信により直ちに全世界に報道され,国家,民族の利益に関するコミュニケーションが害なわれると,紛争や戦争に連なる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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