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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科68巻3号

1996年03月発行

原著

感音難聴およびめまいを呈したWegener肉芽腫症の1症例

著者: 後藤田裕之1 土田伸子1 大渡隆一郎1 西浦洋一2 間口四郎3 滝沢昌彦3 福田諭3 宮武由甲子3 犬山征夫3

所属機関: 1国家公務員等共済組合幌南病院耳鼻咽喉科 2国家公務員等共済組合幌南病院内科 3北海道大学医学部耳鼻咽喉科学教室

ページ範囲:P.201 - P.206

文献概要

 はじめに
 Wegener肉芽腫症は,上気道,下気道の壊死性肉芽腫性病変,全身性の壊死性血管炎,巣状壊死性糸球体腎炎を3主徴とする疾患であるが,全身のあらゆる臓器を冒し,以前は非常に予後不良な疾患であった。しかし,1983年にFauciら1)が免疫抑制療法を報告して以来予後が改善され,早期発見,早期治療の重要性が高まった。耳鼻咽喉科領域においても鼻腔などの上気道はもちろん,耳症状を呈するものが数多く報告されているが,今回われわれは,経過観察中に,突然,一側性感音難聴およびめまいをきたした症例を経験した。診断に際しては苦慮したが,1985年にVan derWoudeが報告した,抗ヒト好中球細胞質抗体Anti-neutrophil cytoplasmic antibody (ANCA)測定を行い,32倍陽性であったため,Wegener肉芽腫症と診断し,免疫抑制療法を施行した。以後,感音難聴,めまいの耳症状をはじめ,呼吸器症状,腎機能などの全身症状が改善された。また,定期的なANCAの測定によって,臨床経過とANCA値との相関性についても確認できた。本症例によって,病理組織学的検査などでの確定診断が困難なWegener肉芽腫症の早期診断にANCA測定が有用なことも再確認したので,症例を呈示するとともに,文献的考察を含めて報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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