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内視鏡下鼻内副鼻腔手術—進歩と定着
著者: 森山寛1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.287 - P.298
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副鼻腔手術において特殊な点は,対象となる副鼻腔が解剖学的に複雑な構造を有し,かつバリエーション(個体間の差もあるが左右差もある)が多く,また直接見ることのできない死角が多く存在し,副鼻腔の周囲を重要な臓器が取り囲んでいることである。眼窩,前頭蓋,視神経とは薄い骨壁により隔てられているにすぎず,また節骨動脈や神経が副鼻腔内に強く隆起している例もあり,従来,額帯鏡の光と裸眼による暗い狭い視野で,死角の多い副鼻腔を手術し,副損傷を起こすことも稀ではなかった。しかし近年は内視鏡を利用した鼻内手術が行われるようになっており,すべての部位を明視下において,的確な操作ができるため合併症も少なくなり,現在では多くの施設で行われるようになっている。停滞気味であった鼻副鼻腔の手術が一躍脚光をあびるようになり,内視鏡下手術の導入が鼻科学の活性化に大いなる貢献をしているといっても過言ではない。
副鼻腔手術において特殊な点は,対象となる副鼻腔が解剖学的に複雑な構造を有し,かつバリエーション(個体間の差もあるが左右差もある)が多く,また直接見ることのできない死角が多く存在し,副鼻腔の周囲を重要な臓器が取り囲んでいることである。眼窩,前頭蓋,視神経とは薄い骨壁により隔てられているにすぎず,また節骨動脈や神経が副鼻腔内に強く隆起している例もあり,従来,額帯鏡の光と裸眼による暗い狭い視野で,死角の多い副鼻腔を手術し,副損傷を起こすことも稀ではなかった。しかし近年は内視鏡を利用した鼻内手術が行われるようになっており,すべての部位を明視下において,的確な操作ができるため合併症も少なくなり,現在では多くの施設で行われるようになっている。停滞気味であった鼻副鼻腔の手術が一躍脚光をあびるようになり,内視鏡下手術の導入が鼻科学の活性化に大いなる貢献をしているといっても過言ではない。
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