文献詳細
原著
甲状腺腫瘍術後に腕頭動脈破裂をきたし救命しえた1例
著者: 石本晋一1 吉田克也1 伊藤依子1 小林恵子1 吉本世一1 石橋敏夫1 深谷卓1 浅井昌大2 中塚貴志3
所属機関: 1関東逓信病院耳鼻咽喉科 2国立がんセンター東病院頭頸科 3東京大学医学部形成外科学教室
ページ範囲:P.410 - P.413
文献概要
腕頭動脈破裂は頭頸部外科の重篤な術後合併症であるが,救命しうることは少ない1)。これは,気管壁の感染が,動脈壁に波及し,気管腕頭動脈瘻を形成するために破裂が起こることが多く1〜9),腕頭動脈が広範に脆弱化し,結紮切断,直接縫合,パッチ,人工血管置換などを行っても再出血するためである1)。
今回われわれは,甲状腺癌の縦隔および気管浸潤症例で,腫瘍切除と永久気管孔造設後6日目に腕頭動脈破裂をきたしたが,迅速な対処のもと破裂部位を直接縫合したのち縫合部位をテフロンパッチにて補強し,さらに大胸筋皮弁により術創を保護したことで救命しえた1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。
掲載誌情報