文献詳細
原著
スギ花粉非感作・ヒノキ花粉感作例の臨床像
著者: 山際幹和1 藤田健一郎1 木村則昭2 中西やよい2 行岡茂2 中西繁夫2
所属機関: 1松阪中央総合病院耳鼻咽喉科 2松阪中央総合病院臨床中央検査室
ページ範囲:P.490 - P.493
文献概要
わが国の花粉症のなかで最も問題となるのはスギ花粉症であることには異論がない。その患者数は1970年代に入ってから急増し1),近年増加の一途をたどっている。他方,ヒノキ花粉は,近年,樹林面積の増加に伴いスギ花粉を上回るほど多く飛散する花粉となり2),その感作を受ける機会は多いと考えられ3),われわれも,昨今ではヒノキ花粉症を十分念頭においた診察を行っている。
今日までの研究で,ヒノキ花粉とスギ花粉が共通抗原性を有することも明らかにされており4),われわれの検討でも,ヒノキ花粉特異的IgE抗体陽性例の93%はスギ花粉特異的IgE抗体も陽性であった3)。
なかには,ヒノキ花粉に単独で感作されたと思われる症例も観察され,臨床的に興味が持たれるが,その実体は必ずしも明白ではない。そこで,ここではスギ花粉非感作・ヒノキ花粉感作例の臨床像を若干の文献的考察を加えて報告する。
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