文献詳細
原著
耳下腺唾液瘻の治療—特に臭酸スコポラミンとの併用療法の有用性について
著者: 田村嘉之1 所芳男2 堀内正敏1 坂井真1
所属機関: 1東海大学医学部耳鼻咽喉科学教室 2所耳鼻咽喉科医院
ページ範囲:P.566 - P.570
文献概要
耳下腺腫瘍の外科治療に生じる唾液瘻の頻度は3%前後である。また,唾液瘻は導管の損傷部位の違いから2つに大別される。腺外の主管損傷による管瘻性唾液瘻と腺内の導管損傷による腺瘻性唾液瘻である。管瘻性唾液瘻の治療は導管形成術や耳下腺全摘出術などの外科治療が行われる。腺瘻性唾液瘻の治療は,局所圧迫などの保存的治療や,耳介側頭神経から顔面神経に交通枝を介して移行する副交感神経線維を切断するLericheの手術などの外科的治療が行われる。
われわれは腺瘻性唾液瘻9例に対して局所圧迫単独治療と抗コリン作動性効果遮断薬である臭酸スコポラミンを併用した治療の2種類の治療法を行った。過去に臭酸スコポラミンによる治療報告はなく,われわれは腺瘻性唾液瘻の臭酸スコポラミンによる併用治療の有用性を検討した。
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