文献詳細
原著
文献概要
はじめに
近年,味覚機能に関する研究が多くなり,味覚の減退,消失といった症例が数多く認められる1)。味覚障害は,一般的に薬剤性,特に亜鉛の代謝・摂取異常によって起こり,また全身疾患,感冒,舌炎などによっても味覚機能が一時的に失われる。これらの味覚障害は,味覚器の機能そのものに原因があるとされている。その他に味覚中枢・伝導路などの障害によっても味覚障害が起こることがあり2),上記以外にも原因が推測できない特発性の味覚障害も多くある。
味覚障害の治療は,薬剤で起こりやすい味覚障害では薬剤のキレート作用により出現することから亜鉛剤の内服を中心に行われている。全身疾患の場合はその治療を中心に行うが,亜鉛が不足して起こることが多いために,亜鉛剤が用いられている。このように,味覚異常および障害といった疾患に対して,亜鉛剤の内服がもっとも多く用いられているが,味覚中枢・伝導路の障害によって起こる味覚障害の治療法についての報告は少ない。
本研究の目的は,味覚障害に対して鍼灸治療が応用可能かどうかを調べることにある。そこでわれわれが顔面部の痛み,特に特発性三叉神経痛3),特発性舌咽神経痛4)などに対し頻用している鍼治療法を行い,味覚弁別閾値に対する影響を濾紙ディスク法5)を用いて観察した。
近年,味覚機能に関する研究が多くなり,味覚の減退,消失といった症例が数多く認められる1)。味覚障害は,一般的に薬剤性,特に亜鉛の代謝・摂取異常によって起こり,また全身疾患,感冒,舌炎などによっても味覚機能が一時的に失われる。これらの味覚障害は,味覚器の機能そのものに原因があるとされている。その他に味覚中枢・伝導路などの障害によっても味覚障害が起こることがあり2),上記以外にも原因が推測できない特発性の味覚障害も多くある。
味覚障害の治療は,薬剤で起こりやすい味覚障害では薬剤のキレート作用により出現することから亜鉛剤の内服を中心に行われている。全身疾患の場合はその治療を中心に行うが,亜鉛が不足して起こることが多いために,亜鉛剤が用いられている。このように,味覚異常および障害といった疾患に対して,亜鉛剤の内服がもっとも多く用いられているが,味覚中枢・伝導路の障害によって起こる味覚障害の治療法についての報告は少ない。
本研究の目的は,味覚障害に対して鍼灸治療が応用可能かどうかを調べることにある。そこでわれわれが顔面部の痛み,特に特発性三叉神経痛3),特発性舌咽神経痛4)などに対し頻用している鍼治療法を行い,味覚弁別閾値に対する影響を濾紙ディスク法5)を用いて観察した。
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