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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科68巻9号

1996年09月発行

文献概要

手術・手技

改良型顕微鏡による慢性副鼻腔炎鼻内手術

著者: 大越俊夫1 臼井信郎1

所属機関: 1東邦大学医学部耳鼻咽喉科学第二講座

ページ範囲:P.816 - P.819

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 はじめに
 慢性副鼻腔炎の手術方法は病的粘膜の完全除去を目的とする根治的手術法と,病的副鼻腔の形態を保持しつつ換気と排泄を行うことにより治癒させようとする保存的手術法に大別される。近年は薬物療法の進歩と相まって鼻内法による保存的手術が多く行われている。副鼻腔炎鼻内手術は篩骨洞を経由して上顎洞,前頭洞,蝶形骨洞を開放する手術であるが篩骨洞が解剖学的に複雑であり,入口が狭く奥が深い術野であるため高度の熟練を要する手術である。この鼻内手術を明視下に安全確実に行うために内視鏡や顕微鏡といった光学機器が導入され,その有用性が報告されている1,2)
 慢性副鼻腔炎手術に顕微鏡が使用された例は成人では1950年代後半3),小児では1970年代後半4)より報告が見られるが,国内外を通じて報告は意外に少ない。慢性副鼻腔炎鼻内手術において顕微鏡の使用の少ない理由としては①死角ができること,②従来の大型の耳科内顕微鏡をそのまま使用しようとしたための使いにくさ,③篩骨洞や蝶形骨洞のように進入路が狭い所では光の到達が不十分な部分があること,などが考えられる。しかしながら①対象に接近することなく解像度の高い立体画像が得られ,②出血が多い症例でも使用でき,③手術手技が従来と同じである,という利点は現在の慢性副鼻腔炎の病変部の主体が節骨洞にあるものが多いことや,危険部位が節骨洞から蝶形骨洞に多い5)ことを考えると,顕微鏡下の慢性副鼻腔炎鼻内手術は有用と思われる。われわれは以前より小型の手術用双眼顕微鏡を副鼻腔炎鼻内手術に使用しているが,従来の顕微鏡の不満足な点に対する改良を行い,より使いやすい改良型小型顕微鏡と,1カメラで2画面の3D方式を備えた撮影装置(永島医科器械製:改良型SN−100T)を試作したので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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