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原著
市販ELISAキットによるc-ANCAの測定の経験
著者: 坂田謙1 深瀬滋1 太田伸男1 稲村和俊1 青柳優1
所属機関: 1山形大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.57 - P.61
文献購入ページに移動1985年Woudeら1)により初めて報告された抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibodies:ANCA)のcytoplasmic pattern (c-ANCA)はWegener肉芽腫症(WG)に極めて特異性が高く,病勢の把握にも有用であることが現在広く認知されるようになってきた。ANCAにはc-ANCA以外にも間接蛍光抗体法で異なる蛍光パターンを呈するperinuclear pattern (p-ANCA)もあるが,これは比較的広い範囲の疾患で出現し,疾患特異性における臨床的意義は低いと考えられている。c-ANCAに関しては,本邦では腎臓内科領域では吉田ら2)が,耳鼻咽喉科領域ではわれわれ3〜7)および間口ら8)がヒト末梢血好中球を基質とした間接蛍光抗体法を用いて本抗体の疾患特異性について報告を行っている。近年,c-ANCA抗原の解析が進み,ELISA法による測定も可能となり,欧米を中心として臨床応用されるようになった9〜11)。本邦においても,1993年よりELISA法によるANCAの測定が保険適応として検査可能となっており,今後臨床的に広く利用されるものと考えられる。今回,c-ANCAをELISA法にて測定し,従来の間接蛍光抗体法による測定との比較を行ったので報告する。
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