文献詳細
原著
染色体異常7q部分欠失に中耳,内耳奇形を合併した1例
著者: 塚田晴代1 長井今日子12 大島幸雄3 鬼形和道4 亀井民雄1
所属機関: 1群馬大学医学部耳鼻咽喉科 2公立藤岡総合病院耳鼻咽喉科 3済生会前橋病院小児科 4群馬大学医学部小児科
ページ範囲:P.889 - P.893
文献概要
染色体異常46,XY,del(7)(q11.2q22)は,1968年de Grouchyら1)が最初に報告した極めて稀な染色体異常で,その臨床症状は多彩である。主な外表奇形は耳介奇形,小顎症,小頭症,手足の指の形成不全で,内臓奇形では心奇形,ヘルニア,生殖器低形成で,神経系では精神,身体発達遅滞,筋緊張低下,脳波異常などである2,3)。特に臨床症状で頻度が高いのは,精神身体発達遅滞と手足の指の形成不全である4)。耳鼻咽喉科領域における合併奇形は,耳介奇形の報告が多いが難聴を合併した症例の報告は少ない2)。また,難聴の発症病態については不明である。今回われわれは,染色体異常7q部分欠失に中耳,内耳奇形による高度難聴を合併した症例を経験したので報告する。
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