文献詳細
原著
両側性上顎癌の3例
著者: 牧野伸子1 今中知子1 杉山視夫1 雑賀孝昇1 石田稔1 八田千広2
所属機関: 1大阪府立病院耳鼻咽喉科 2兵庫医科大学耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.967 - P.970
文献概要
片側の上顎癌発生の後に,ある期間をおいて対側に上顎癌が発生する両側性上顎癌症例は本邦では1937年の和田らの報告に始まるとされ,1997年都築ら1)が自験例1例を含め,本邦における66例のまとめを報告している。両側性上顎癌の発生頻度については,Shibuyaら2)が351例の上顎癌中の5例,1.4%と,Miyaguchiら3)が802例の上顎癌中の10例,1.2%と報告しているように少ないが,治療手段の進歩に伴う生存期間の延長によって,その報告も増加しつつある。今回筆者らは,片側の上顎癌発生後,11年,28年,35年を経て,対側に上頻癌が発生した3症例を経験したので報告する。
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